Muse Code と競合たち:価格×性能マップで見る現在地
本命のライバル 5 つ、重要な軸は 2 つ。Claude、Codex、DeepSeek、GLM、MiniMax に対して Meta のエージェントが実際どこに位置するのか。そして次の価格改定が来ても使える判断フレームワーク。
性能の構図:僅差の 2 番手
実際のターミナルエージェント作業に最も近いベンチマークである Terminal-Bench 2.1 では、Muse Code 上で動く Muse Spark 1.2 が 82.9% を記録しています。Anthropic の Claude Opus 5(86.7%)に次ぐ位置で、GPT-5.6 Terra を積んだ OpenAI の Codex(81.8%)をわずかに上回り、xAI の Grok Build(81.6%)と Google の Antigravity CLI(78.9%)が僅差で続きます。リポジトリ規模のソフトウェアエンジニアリングを問う DeepSWE 1.1 でも順位は同じですが、差は広がります。Opus 5 の 65.0%、Codex の 64.8% に対して 59.3%。これらの数字は、不利なセルも含めて Meta 自身が公表したものです。この点は信頼性への加点材料でしょう。
正直にまとめるとこうです。性能のリーダーは Claude Code + Opus 5。Muse Code と Codex はテストによって順位が入れ替わる関係。オープンウェイトの挑戦者たち、DeepSeek V4、GLM-5.2、MiniMax M3 は隣接ベンチマークで強い結果を公表しています(MiniMax は SWE-bench Verified で 80% 超を報告)が、ファーストパーティのエージェントハーネスを持たないため、エージェントベンチマークでの直接比較はほぼ存在しません。

Meta が公表した Terminal-Bench 2.1 のチャート。トップ 3 の後ろには、Grok Build 上の Grok 4.5(81.6%)と Antigravity CLI 上の Gemini 3.6 Flash(78.9%)が並びます。1.1 → 1.2 のジャンプは 6.7 ポイントです。
価格の構図:3 つのレーン
100 万トークンあたりの価格で見ると、市場は 3 レーンに分かれます。プレミアム:Opus 5 が入力 $5 / 出力 $25、OpenAI のフラッグシップ GPT-5.6 Sol が $5 / $30。ミドル:Codex のデフォルトである GPT-5.6 Terra が $2 / $12(OpenAI の 7 月 30 日の値下げ後)、Grok 4.5 が $2 / $6、Gemini 3.6 Flash が $1.50 / $7.50、GLM-5.2 が $1.40 / $4.40、そして Muse の standard が $1.25 / $4.25。バジェット:MiniMax M3 が $0.60 / $2.40、DeepSeek V4 Pro が $0.435 / $0.87、新しい DeepSeek V4 Flash が $0.14 / $0.28。そして地図の外に、Muse Contributor の $0.10 / $0.20 があります。あらゆるオープンウェイトの選択肢より安く、その対価は Meta にセッションからの学習を許すことです。
エージェントワークロードに限れば、複利で効いてくるのはキャッシュ済み入力の単価です。リポジトリのコンテキストはターンごとに再送信されるため、Muse Contributor の $0.002 と DeepSeek V4 Flash の $0.0028 というキャッシュレートは別格です。Opus 5 のキャッシュは $0.50 で、Contributor の 250 倍。長いセッションを 1 か月続ければ、請求書の正体はキャッシュの列そのものになります。仕組みの詳細はティアの計算記事で解説しています。
価格表とスコア表からこぼれ落ちるもの
表のセルに収まらない構造的な違いが 3 つあります。第一にハーネスの所有。Meta、Anthropic、OpenAI、xAI、Google はいずれも、モデルをそれ専用にチューニングしたファーストパーティエージェントを出荷しています。Muse Spark 1.2 は文字どおり Muse Code と共同訓練されました。一方 DeepSeek、GLM、MiniMax は OpenCode のようなサードパーティハーネスに乗ります。優秀ですが、汎用品です。第二にオープン性。中国勢 3 社はウェイトを公開しており、セルフホスト、ファインチューニング、API 価格からの完全な離脱が可能です。ビッグ 3 のどこも提供していない選択肢です。第三に監査可能性。Muse Code のリプレイ完全一致のイベントログは、プロダクトの一級機能としては現状唯一無二であり、規制対象のチームにとっては数ポイントのベンチマーク差より重いかもしれません。
判断フレームワーク
性能最優先で価格は二の次なら、Claude Code + Opus 5。今もスコアボードの首位です。ミドル価格でフロンティア級に迫る性能、差別化要素として並列性と監査可能性が欲しいなら、Muse Code。プロプライエタリな仕事には standard、それ以外は Contributor で。セルフホスト、ファインチューニング、厳格なデータ主権要件があるなら、オープンウェイトのレーンへ。価格性能比なら DeepSeek V4、あとはハーネスと自前の評価結果次第で GLM-5.2 か MiniMax M3。OpenAI や Google のエコシステムに深く投資済みなら、Codex と Antigravity CLI が引き続き最も抵抗の少ない道であり、Grok 4.5 の出力 $6 という料金は Grok Build をプレミアムレーン最安のエージェントにしています。
そして Model API はいまお使いの SDK や CLI とドロップイン互換なので、現行環境に対して Muse を試すコストはベース URL の変更 1 回分です。この市場では数字がすぐ古びます。最新の表とその確認日は比較ページに置いています。誰のベンチマークよりも、自分の diff を信じてください。私たちのものも含めて。